任意整理とは

任意整理とは、弁護士が貸金業者と交渉することにより、借金の金額や毎月の返済額を減らしてあなたの借金問題を解決する手続です。

任意整理をすれば、毎月の返済額を減らすことができ、弁護士と貸金業者の交渉で決めた金額を3～5年程度の分割返済をすれば借金が完済できることになります。

また、任意整理とは弁護士があなたの代理人となって行う手続きです。任意整理の手続きでは、弁護士が貸金業者に受任通知を送付して交渉の窓口となります。

任意整理は、最短でその日のうちに貸金業者からの厳しい取立てから解放されることができます。

（執筆者）弁護士坂尾陽（Akira Sakao -attorney at law-）

2009年　　　　　京都大学法学部卒業
2011年　　　　　京都大学法科大学院修了
2011年　　　　　司法試験合格
2012年～2016年　森・濱田松本法律事務所所属
2016年～　　　　アイシア法律事務所開業

1. 任意整理の特徴

任意整理は借金問題を解決する「債務整理」と呼ばれる方法の1つです。借金問題を解決するための債務整理には、任意整理以外に自己破産や民事再生等の方法もあります。

任意整理とは、自己破産や個人再生のデメリットを回避しつつ、弁護士の交渉により借金総額や返済額を減額し、そのまま借金返済を続けるよりも返済する金額を少なくできます。任意整理には、自己破産や個人再生と違って以下のような特徴があります。

任意整理とは弁護士が貸金業者と個別に交渉する手続きであるため、任意整理の対象を選ぶことができます。

自己破産等の手続きにおいては、原則としてあなたが抱える借金の全てを手続きの対象とすることになります。

これに対し、任意整理であれば、連帯保証人がいる借金や恩義のある人からの借金は手続きの対象としないことができます。借金問題で迷惑をかけたくない人がいる方にとっては任意整理がおすすめです。

任整理とは、弁護士が貸金業者との交渉窓口になって行う手続きです。

あなたが自分自身で貸金業者と交渉しても、返済金額の減額や金利のカット等が認められることはまずありません。

しかし、弁護士が任意整理を行うと、貸金業者としても「弁護士が出てきた以上は仕方ない」と判断して交渉に応じてくれるのです。

任意整理を弁護士に依頼すれば、弁護士が交渉窓口となるため貸金業者による借金の取り立てはストップします。

任意整理の法律相談にお越しいただき最短即日で借金の取り立てを止めることができます。この点も任意整理の特徴と言えるでしょう。

任意整理とは、借金総額や毎月の返済額を減額して借金問題を解決する手続きです。なぜ、任意整理によって借金が減額できるのでしょうか。

実は、借金の金利は「利息制限法」と「出資法」によって上限が定められています。しかし、利息制限法と出資法の上限金利が異なる時代が長く続いていました。

そのため、利息制限法の上限金利（15～20％）を超えるものの、貸金業法の上限金利（29.2％）を超えないため、法律上は無効ではあるものの刑事罰がない「グレーゾーン金利」が存在しました。

貸金業者はグレーゾーン金利での貸付を行っていましたが、グレーゾーン金利は法律上無効です。任意整理では、借金のスタート時点から正しい上限金利（15～20％）による借金の金額を再計算します（引き直し計算）。

任意整理では、引き直し計算によってグレーゾーン金利で支払われていた部分を借金の返済に充てるため借金を減額できるのです。

なお、任意整理の引き直し計算の結果として、借金は既に返済が終わっていることが明らかになる場合もあります。このような場合は返済するべき金額を超えて支払った金額が「過払い金」となり、貸金業者から過払い金が戻ってくることもあります。

また、銀行系の貸金業者のように利息制限法の上限金利による貸付であるため、グレーゾーン金利からの引き直し計算で借金減額ができないときでも、任意整理による借金減額は可能です。

任意整理では、遅延損害金や将来金利のカットを弁護士が交渉します。借金の元本のみを分割返済するため、そのまま借金返済を続けるよりも支払う金額が大きく減ります。

また、分割返済の期間についても、毎月の返済額を減額できるように交渉を行います。概ね3～5年程度の長期間で借金元本を分割返済することで和解できるため、結果的に毎月の返済額を減額することができます。