任意整理の期間について解決期間・返済期間・ブラックリスト期間を解説      

任意整理は「せっかく給料が入っても、返済金額が多くて毎月の生活が苦しい」と借金に悩んでいる方におすすめです。

任意整理を行えば経済的にも精神的にも余裕が生まれます。

 

もっとも、任意整理は簡単にできるのか、どのぐらい期間がかかるのか疑問に思われるかもしれません。この記事では任意整理に必要な期間と流れを解説します。

 

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

 

1.      任意整理の期間―解決期間・返済期間・ブラックリスト期間

 

まずは任意整理に必要な期間と、ブラックリストの登録期間について簡単に説明します。

 

1.-(1)  任意整理の解決までの期間

 

任意整理を弁護士に相談してから手続き完了までの期間は最短で3か月程度です。

貸金業者の対応スピードに依存する部分も多いですが長くても6か月程度で終わるケースがほとんどです。

 

任意整理は解決までの期間が短く、自己破産や個人再生に比べて短期間での解決ができる点がメリットです。

また、任意整理を弁護士に依頼してから解決までの期間において、あなたが自分でやるべきこともそう多くはないことが特徴です。

 

1.-(2)  任意整理をした場合の返済期間

 

任意整理をすると借金総額や毎月の返済金額を減額できます。そして、残った借金の元本を貸金業者と合意した期間で分割返済することになります。

 

任意整理をした場合の返済期間は3年から5年程度が一般的です。

任意整理の返済期間として3年程度であれば応じる貸金業者がほとんどですが、任意整理の交渉次第では最長5年程度までの返済期間であれば認められることが多いです。

 

1.-(3)  ブラックリストに載る期間

任意整理をするとブラックリストに載ることを心配する人も多いです。

 

①   ブラックリスト期間の目安は5年

 

よく任意整理のデメリットとしてブラックリストに載ることが挙げられることがありますが、任意整理で弁護士に相談に来るような場合は既に延滞等によりブラックリストに載っていることがほとんどです。

 

任意整理自体のブラックリストに関しては5年が目安と言われています。ブラックリストの期間が無事に過ぎれば異動情報として情報が消去されます。

 

②   JICCのブラックリスト期間

 

厳密に言うと任意整理自体がブラックリストに登録されるのはJICC(株式会社日本信用情報機構)のみです。JICCではブラックリスト情報は受任通知から和解までの間に登録されるため、5年かけて返済した場合には完済後にはブラックリストから消えている可能性も考えられます。

 

③   CICとKSCのブラックリスト期間

 

また、CIC(株式会社シー・アイ・シー)とKSC(全国銀行個人情報センター)では任意整理に関する登録区分が存在しないため、任意整理をしたことによりブラックリストに登録される可能性は低いでしょう。

ただし、延滞や代位弁済がブラックリストとして登録することがあり得ます。このような場合は完済した日から5年又は代位弁済から5年がブラックリストに載る期間になります。

 

2.      任意整理における解決期間の流れ

 

任意整理にどのくらいの期間が必要なのかはだいたい掴めたと思いますが、具体的に任意整理の解決まではどのような流れになるのでしょうか。

任意整理における解決期間の流れについて詳しく説明します。

 

2.-(1)  任意整理の無料相談

 

任意整理はまず弁護士に無料相談するところから始まります。

司法書士も任意整理の相談を行っていますが、ひとつの債権者からの借り入れが140万円以上あると、司法書士には依頼ができないので注意が必要です。

 

任意整理の無料相談では予め借金や生活状況について整理しておくとスムーズです。

借金を開始した時期やどの程度の借金が残っているかを貸金業者毎に整理しておけるのが最も大切です。また、どの程度の収入があり、必要な生活費はどのぐらいかも弁護士の無料相談で聞かれるポイントです。

 

もっとも、借金総額や返済状況を把握できていない方も少なくありません。任意整理に強い弁護士であれば、こういう場合の対応も慣れているのでご安心ください。

 

また、過去に年利20%以上の金利を払っていた業者がある場合は過払い金が返ってくるチャンスです。

任意整理では過払い金が返ってくることもあるため、無料相談で弁護士に見込みを聞くことをおすすめします。

戻ってくる過払い金が現在の借り入れ額よりも多ければ、借金がなくなるのみならずその分の金額が手元に返ってくるという大きなメリットを得ることができます。

 

2.-(2)  受任通知送付までの期間:最短1日

任意整理の無料相談では、任意整理の見込みがあるかや任意整理の費用をその場でアドバイスを受けることができます。

 

無料相談を受けて弁護士に任意整理を依頼すると委任契約書を締結し、弁護士から貸金業者に受任通知を送付します。無料相談から受任通知までは最短1日の期間となります。

 

受任通知送付までの期間が短いのは、受任通知によって取立てがストップする大きなメリットがあるからです。

任意整理の受任通知を受け取った貸金業者は、あなたに対して直接取立てができなくなります。これらは法律で決められているため、それ以降は万が一取立てや督促があっても応じる必要はありません。

 

2.-(3)  取引履歴の開示までの期間:2週間から1か月程度

 

任意整理の受任通知を送付する時には貸金業者に対して取引履歴の開示を求めます。借金の状況を把握していないときでも、取引履歴を見れば正確に借金状況を把握できます。

 

取引履歴が開示されるまでの期間は貸金業者によっても異なりますが、通常は2~3週間程度の期間で取引履歴が開示されます。

長くても1か月程度で取引履歴が開示されますので、取引履歴に基づいて任意整理の方針を決めていくことになります。

 

2.-(4)  返済計画案作成の期間:1週間から1か月程度

任意整理の受任通知を送付すると取立てと返済がストップするため精神的・経済的に余裕を取り戻せます。

 

この期間を利用して、あなたの収入や生活状況に応じて、弁護士と毎月の返済金額を決めていきます。

任意整理の失敗パターンとして、任意整理の和解交渉は成立したものの返済ができなくなることがあります。

(参考)任意整理に失敗する4つのパターンと失敗しないための対応法

 

返済計画案の作成は任意整理を失敗しないために重要なポイントです。毎月の返済額には少しゆとりを持たせ、不測の事態にも対応できる程度にしておきましょう。

 

この期間、弁護士は貸金業者との交渉も同時に進め、返済金の減額などに努めます。

開示された取引履歴に基づいて借金の減額ができないかや過払い金がないかを検討します。

 

2.-(5)  貸金業者との和解成立までの期間:3か月から6か月程度

 

貸金業者と和解交渉をする期間は、業者の対応スピードによってさまざまです。

 

和解交渉では借金総額を減額できるかや、どの程度の返済期間を認めるかが問題になります。

貸金業者との和解成立までの期間は、「貸金業者が任意整理に応じないため任意整理に失敗したらどうしょう」と不安に思われるかもしれません。

しかし、貸金業者側からすると、交渉に応じなければ貸した金額がまったく返ってこない可能性もあるため、ほとんどの業者は素早く対応してくれるでしょう。

(参考)貸金業者が任意整理に応じずに失敗するリスクは高くない

 

 

貸金業者との交渉期間は最短で3か月程度であり、長くても6か月程度であることが一般的です。もっとも、毎月の返済金額をできるだけ減額するよう交渉するようなときや特殊な任意整理の条件を申し入れるときは、貸金業者との交渉期間が伸びることもあります。

 

2.-(6)  任意整理に基づく返済期間:3〜5年程度

 

貸金業者との任意整理が成立すると任意整理に基づく返済期間がスタートします。

 

任意整理は3~5年の返済期間が一般的とされています。

基本の返済期間は3年ですが、借金が多い場合や収入・生活状況次第では5年程度であれば返済期間として認められることが多いです。

まれに7年にしてもらえるケースもありますが、あまりに長期間の返済期間だと貸金業者もなかなか任意整理の交渉に応じてくれません。弁護士と相談しながら任意整理の方針を決めますが、最長でも5年で返せる計画を立てたほうが無難でしょう。

 

任意整理の返済期間は弁護士が貸金業者の対応方針をどの程度把握しているかにもよります。

もし、長期間の返済期間を設定したいときは、任意整理に強い弁護士にその旨を率直に伝えて意見を聞くことをおすすめします。

 

3.      任意整理によるブラックリスト期間中の注意点

 

任意整理によってブラックリストに載るかやブラックリストに載る期間は信用情報機関によって異なります。

ブラックリストの期間は5年が目安と言われますが、ブラックリスト期間中の注意点を簡単に説明します。

 

3.-(1)  ブラックリスト期間中のデメリット

 

まず、基本的には5年間はクレジットカードやローンの審査は通らないと考えたほうがいいでしょう。

スマホやタブレットを購入するときも、端末の分割払いができない可能性があるため注意が必要です。

また5年経過後でも、任意整理をした貸金業者の中では事故情報が残り続けることあるため(いわゆる社内ブラック)、そのグループ会社も合わせて利用できないことがあります。

 

3.-(2)  ブラックリスト期間を恐れて任意整理をしないリスク

もっともブラックリスト期間中の不便を任意整理のデメリットとして深刻に受け止めるのは考えものです。

ブラックリストに登録されるからと任意整理をためらっている人もいるかもしれません。しかし、任意整理を弁護士に相談される方は、すでに支払いを滞納していたり、近い将来に借金が返せなくなりブラックリストに既に載っているケースも少なくありません。

 

いずれにせよブラックリストが避けられないのであれば、任意整理をためらうよりも、早めに任意整理をすることで金額的・精神的に負担を軽くする方が良いでしょう。

また、早めに任意整理に踏み切ることで、かえってブラックリストに載る期間が終わるのが早くなることもあります。

 

もし任意整理をするか迷ったときは、少なくとも早めに任意整理に強い弁護士に相談をしましょう。

 

4.      任意整理は短期間で解決できる

 

この記事では任意整理の期間や流れを解説しましたが、任意整理の期間を知ることで安心された方も多いのではないでしょうか。

任意整理はわずらしい手続きも必要なく、自己破産や個人再生と比べると短期間で解決が可能な方法です。

 

借金の返済に困ったら、まずは任意整理に強い弁護士に早めに無料相談だけでもすることをおすすめします。