任意整理は消費者金融などを何か所か利用して借金を返すのが難しくなったときに借金問題を解決する手段です。
しかし、任意整理をするとクレジットカードが利用できなくなります。この記事では、任意整理をしたときにクレジットカードの代わりに利用できる決済方法を紹介します。
1. 任意整理でクレジットカードが利用できなくなる理由
任意整理とは、借金をした人の返済が少しでも楽になるように、債権者と交渉して返済期間の猶予や減額をする手続きのことを指します。
任意整理をすれば生活に余裕ができるため、借金の返済が苦しいと感じているのなら利用したい方法です。
しかし、任意整理をすると新たにクレジットカードを発行できなくなり、また、クレジットカードが利用停止となる可能性があります。
1.-(1) 任意整理後の新たなクレジットカード発行について
任意整理をすると新たにクレジットカードを発行することができなくなります。
クレジットカードの発行には信用情報機関の審査が必要です。クレジットカード会社がカードの新規発行や更新をするときは信用情報を参考にします。
ブラックリストとは信用情報機関に延滞や任意整理の情報が載ることなので、クレジットカードを新たに発行されなくなるのです。
借金をきちんと返さない人には、お金を貸したくはありませんよね。
クレジットカード会社も同じことを考えており、個人の信用情報機関に事故情報が載っている人には、カードを使ってほしくないと考えるのです。
クレジットカードの申し込みをしたときには必ずクレジットカード会社が審査をします。
審査では信用情報機関の記録を参考にするので、借金を返済できない、任意整理・自己破産・個人再生等の事故情報がある場合はこの時点で不合格になってしまいます。
1.-(2) 任意整理の対象外としたクレジットカードについて
任意整理のメリットとして対象とする借金を選べる点が挙げられます。しかし、クレジットカードは任意整理の対象外としたものもいずれ利用停止になるリスクがあります。
任意整理の対象外となるクレジットカードが利用できなくなるケースとして、有効期限が切れた場合が挙げられます。
クレジットカードの有効期限が切れた時に更新審査が行われます。任意整理をすると信用情報機関に記録が残るため、更新審査のタイミングで任意整理をしたことがクレジットカード会社にばれて更新がされなくなります。
さらにクレジットカードの有効期限前にも利用停止になるリスクがあります。
実はクレジットカードの審査は新規発行時のみでなく、利用途中にも審査が行われます（途上与信）。途上与信は貸金業法で定められたものと貸金業者が任意で行うものがあるため、クレジット会社によって審査が行われるタイミングは様々です。
しかし、任意整理をすると信用情報機関に記録が残るため、任意整理の対象外としたクレジットカードについてもいずれ途上与信をされたタイミングで利用停止になる可能性があります。
1.-(3) クレジットカードが一生使えないわけではない
もっとも、任意整理をしたからと言ってクレジットカードがずっと利用できないわけではありません。
個人の信用情報についた傷は、たとえ急にお金持ちになったとしても消えることはありません。信用情報から情報が削除される期間を待つ必要があります。
信用情報機関の事故情報が削除される期間は任意整理・自己破産・個人再生等の手続きによって異なります。しかし、一般的には5年から10年の期間が経てば事故情報の記録が削除されるので、新しくクレジットカードを発行できます。
言い換えると5年から10年間はクレジットカードを新しく作れなかったり利用できなくなったりするということです。
その間はクレジットカードなしの状態で過ごさなくてはならず、もちろんクレジットカードがなければ利用できないサービスや施設は利用できません。また、支払いのたびにたまるポイントも獲得できなくなるため、不便と感じられることもあるでしょう。
2. クレジットカードが利用停止になるとどんな不便があるか
2.-(1) 携帯電話料金・公共料金の支払いができない
クレジットカードで携帯電話料金や電気代・ガス代・水道代等の公共料金を支払っていた場合、クレジットカードが利用停止になると携帯電話料金・公共料金が支払えなくなります。
クレジットカードで携帯電話料金・公共料金を支払っていれば一元管理ができるため、それぞれの支払日を気にする必要がありません。
毎日の生活が借金の返済に追われていると携帯電話料金や公共料金の支払いを気に掛ける余裕がなくなることはよくあります。
任意整理をすると借金の返済にはゆとりを持つことができますが、クレジットカードで携帯電話料金・公共料金の支払いを一元管理できなくなるため自分で支払日を管理する必要があります。
2.-(2) クレジットカードのポイントを失う
ポイントが貯まることをクレジットカードの利用目的にしている方も少なくありません。
任意整理をする人は長年クレジットカードの支払いを続けているうちに、かなりクレジットカードのポイントがたまっていることもあります。
とくにリボ払い等を利用していると有利な条件でポイントが貯まることもあります。
しかし、任意整理でクレジットカードが利用停止になると、貯まっていたクレジットカードのポイントも失ってしまいます。
従って、任意整理をするまえに買い物でポイントを使ったり、マイルに変換しておく等の対策をしておくことをおすすめします
2.-(3) 自動車を残すために任意整理を選んでもETCカードが利用できない
レジットカードのなかには、ETCカードも申し込めるものが多くありますよね。
クレジットカードが使えなくなると、ETCカードも使えなくなる場合もあるので注意が必要です。
任意整理をおすすめする理由として、自動車ローンを対象外とすることによって、自己破産と違って自動車を残せることが挙げられます。
しかし、クレジットカードの利用停止により、ETCカードも使えなくなる不便があるのは盲点になりがちなので注意が必要です。
任意整理をすると、自動車は残ったとしてもETCカードを利用できない不便が生じる可能性があることを覚えておきましょう。
3. 任意整理後におすすめなクレジットカード以外の決済方法
このように任意整理をするとクレジットカードが利用停止になります。
「クレジットカードが使えないなら現金で支払えば良い」と思うかもしれません。たしかに現金でも支払いはできますが、クレジットカード以外のキャッシュレス決済の利用も考えられます。
「キャッシュレス」とはすなわち「現金以外で支払う方法」のことで、クレジットカード以外にも以下のように様々な方法が存在します。
任意整理によってクレジットカードが使えなくなったとしても、ネガティブな気持ちになる必要はありません。
3.-(1) 決済手段を選ぶポイント
クレジットカード以外の決済手段を選ぶポイントとしては以下の点が挙げられます。
まず、クレジットカードのように自然と使えるかです。キャッシュレスの決済手段としてクレジットカード以外のものを利用していると、周囲に怪しまれて任意整理したことがばれるリスクがあります。
次にポイントを有効利用できるかです。クレジットカードを利用する目的がお得にポイントが使えることにあるときは、クレジットカードが使えなくてもできるだけお得なポイントがつく決済手段が良いでしょう。
最後にネットショッピングで使えるかです。
ネットの通販等でクレジットカードを使っている方も多いでしょう。任意整理でクレジットカードが使えなくなると、代引きや銀行振込でしかネットショッピングができないと不便です。
この点、キャッシュレスの決済手段がネットショッピングで利用できれば、任意整理でクレジットカードが利用停止になっても安心です。
3.-(2) デビットカード：銀行口座に直結しているカード
デビットカードの券面にはカードブランドのマークがついているため、一見クレジットカードのように見えます。従って、デビットカードはちらっと見られるぐらいであれば、クレジットカードと同様に自然に使うことができます。
しかし、デビットカードとクレジットカードではシステムが大きく異なります。デビットカードは銀行口座と紐づいており、銀行口座にある預金分だけ買い物ができます。
銀行のキャッシュカードと一体化しているものも多いため、財布をすっきりさせられますね。
クレジットカードは手持ち金額以上の利用ができるため、手持ち金額を超える部分はクレジットカード会社があなたを信用してお金を貸していることになります。そのため、任意整理により信用情報に傷がつくと利用できなくなります。
これに対し、デビットカードは、あくまで手持ちの預金金額の範囲内で利用できるものであり、あなたを信用してお金を貸しているわけではありません。
つまり、デビットカードの場合はその支払いのシステム上、基本的に信用はあまり関係がありません。
デビットカードはクレジットカード会社のような審査はなく銀行口座があれば簡単に発行できます。
また、デビットカードの中にはポイント付与やキャッシュバックの特典があるデビットカードも存在します。
さらにデビットカードはインターネット通販などのネットショッピングでも多くの場合に利用できます。クレジットカード払いを選択し、クレジットカードと同様にカード番号や有効期限等を入力すれば支払いができます。
3.-(3) プリペイドカード：予め前払いでチャージして利用するカード
「プリベイド」とは「前払い」を意味するもので、プリペイドカードは有価証券の一種とされています。
プリペイドカードを利用するには自分で予めお金をチャージする必要があります。
たとえば、5万円をチャージすれば、その範囲のなかで買い物ができます。
プリペイドカードにもクレジットカードのブランドが券面についていることがあり、一見するとクレジットカードと同じように見えるため自然に利用することができます。
但し、プリペイドカードはきちんとチャージしないと使用できないときもあるので注意が必要です。
また、プリペイドカードもクレジットカードと同様に様々なポイントが付くものもあります。インターネットショッピングでも使用することが可能です。
3.-(4) スマホ決済：スマートフォンがあれば簡単に利用できる
任意整理をしても購入したスマートフォンを失うことはありません。きちんと携帯電話料金を支払っていれば、スマートフォンを使い続けることができます。
従って、任意整理でクレジットカードが利用できなくなっても、スマホ決済は利用できます。
QRコード決済や電子マネーなど、スマートフォンなどにアプリをダウンロードして支払う方法をスマホ決済といいます。
スマホ決済も最近は普及しており、PayPayやLINE Pay等の種類があります。
外へ出るときは大抵持ち歩くスマートフォンが財布代わりになるので、少しでも持ち歩く荷物を減らしたい人には魅力的な決済手段です。
支払いはデビットカードと同様に銀行口座から直接行われることが多いため、自分が持っている以上の金額の支払いはできません。
キャッシュレスだとつい使い過ぎてしまうという人にも、ぴったりな決済方法といえるでしょう。
スマホ決済でもきちんと選べば支払い時にポイントがつきますし、インターネット通販も行えます。
4. 任意整理後にクレジットカードが利用できなくなっても対応手段はある
クレジットカードが使えなくなることが気になって任意整理を躊躇されるかもしれません。
たしかに、任意整理をするとクレジットカードを利用できなくなります。クレジットカードが利用できないと、いくつかの不便があるのは事実です。
しかし、クレジットカードが利用できなくても、デビットカード、プリペイドカード、スマホ決済といった対応手段があります。
任意整理後の生活が気になった場合は任意整理に強い弁護士に相談すれば、任意整理を後押ししてくれるでしょう。
