任意整理の必要書類を分かりやすく解説|相談・依頼時、和解交渉時、資産がある場合の必要書類を整理

任意整理をするときの必要書類は少し分かりにくいかもしれません。

借金の返済に困った際の手段のひとつとして任意整理があります。任意整理の手続きには流れがあるため、任意整理の必要書類は相談・依頼時、和解交渉時、資産があるときと場面によって異なります。

ここでは、任意整理の必要書類をまとめた上で、任意整理の流れに沿って手続きになぜ書類が必要になるかを分かりやすく解説します。

(執筆者)弁護士 坂尾陽(Akira Sakao -attorney at law-)

2009年      京都大学法学部卒業
2011年      京都大学法科大学院修了
2011年      司法試験合格
2012年~2016年 森・濱田松本法律事務所所属
2016年~     アイシア法律事務所開業

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任意整理の相談・依頼時の必要書類は3つ

任意整理を考えたら必要書類よりもすぐに相談へ

任意整理を最初に弁護士に相談・依頼をするときの必要書類は3つだけです。

  • ご相談者様の身分証明書
  • 印鑑(認め印でOK)
  • 任意整理をする金融機関のカード類

任意整理の手続きや和解交渉に必要となる正式な書類は弁護士が作成します。そのため、相談・依頼の段階で必要となる書類はほとんどありません。

任意整理が必要となる方は、借金返済が限界に来ている方がほとんどです。そのため必要書類を集めるよりは、まず弁護士に相談することをおすすめします。

MEMO

任意整理を弁護士に依頼すれば貸金業者からの取立てがストップします。貸金業者の催促・取立てに悩んでいる中で任意整理の必要書類を集めるのは負担が大きいです。まず、弁護士に依頼して貸金業者の催促・取立てを止めてから、ゆっくり必要書類を集めていきます。

任意整理の相談・依頼時の必要書類の注意点

 

01 ご相談者様の身分証明書

相談・依頼時に必要となる身分証明書は本人確認のため必要です。運転免許証やパスポートなどがあればいいでしょう。ただし、これらの身分証明書に記載されている住所が現住所と異なる場合には現在の住民票が必要だと言われることもあります。

古い住所が記載されていても運転免許証やパスポートがあれば、とりあえずご相談・ご依頼はいただけるのでご安心ください。

02 印鑑(認め印でOK)

任意整理のご相談・ご依頼時には印鑑が必要となります。任意整理の無料相談にお越しになり、いますぐ貸金業者からの催促・取立てをストップして欲しいという方は少なくありません。
印鑑は弁護士に任意整理を依頼することに決めたとき契約書を交わすために必要です。実印である必要はありませんので認印があれば大丈夫です。

MEMO

印鑑が手元にないものの、どうしても任意整理を依頼したいとときは指印で対応することも可能です。

03  任意整理をする金融機関のカード類

任意整理の対象とする金融機関のカード類は、借入先のキャッシングカードやクレジットカードをご持参ください。可能であれば、任意整理の対象とするつもりがなくても、その時点で利用中又は過去に利用していたすべてのカード類をご用意ください。

任意整理のメリットとして、任意整理の対象とする借金を選べることがあります。
(参考)任意整理のメリット
しかし、任意整理をするに当たっては、あなたの収入状況・返済状況等の経済状況を弁護士が把握している必要があります。そのため、任意整理の対象外である借金についても事情を聞くことがあるので、ご利用中の全てのカード類をご用意いただくのがスムーズです。

なお、万が一カードを紛失してしまった場合にも、任意整理の手続き自体は可能です。また、任意整理を行うと、これらのカード類は使えなくなるか制限がかかります。

MEMO

過去に利用していたカード類を弁護士がチェックした結果、過払い金を請求できる場合もあります。念のため過去に利用していたカード類もご持参いただくことをおすすめします。

 

任意整理の和解交渉を行うための必要書類

任意整理の和解交渉で書類が必要になる理由

任意整理を弁護士に依頼すると貸金業者と和解交渉を行って、借金総額や毎月の返済金額の減額を目指します。和解交渉においては、任意整理後に無理なく返済ができそうかが問題になります。そのため以下のような書類を確認する必要があります。

  • 債権者一覧表
  • 貸金業者との間の契約書(手元になければ不要)
  • 過去の入手出金が分かる資料(利用明細・領収書の残っているもの)
  • 収入関係書類(給与明細・源泉徴収票や確定申告書)
  • 家計の収支状況をまとめた資料
  • 預貯金通帳
MEMO

和解交渉時の必要書類は上記全てが必要になるわけではありません。任意整理を依頼した弁護士と相談しながら、指示された必要書類を集めることになります。

任意整理の必要書類を集めるときの注意点

01 借金の状況を把握するための必要書類

任意整理の和解交渉を進めていく段階では、どのような債権者から借入れをしているのかを弁護士が把握する必要があります。そのため、複数の貸金業者から借り入れがある場合には債権者一覧表を作成しましょう。

債権者一覧表は、借入先の社名、借入金額、毎月の返済金額、取引開始日などが分かるものです。弁護士に相談したときにフォーマットを渡されれば、そちらに記載してください。

また、貸金業者との間の契約書や、過去の入出金が分かるものを弁護士が確認するときがあります。これらは手元に残っているものをご提出ください。

MEMO

弁護士はご依頼者様の自己申告に基づいて貸金業者から取引明細を取りよせるため、契約書・入出金明細が全て必要になることはありません。しかし、ご依頼者様の記憶違いであったり、複雑な契約であるときは契約書や入出金明細を手掛かりに、借入の実態を解明する必要があることもあります。

02 返済計画を立てるための必要書類

任意整理の手続きでは貸金業者と和解交渉を行いますが、任意整理が成立したら返済計画に従って借金元本を支払うことになります。しかし、返済計画に無理があれば任意整理は失敗してしまいます。
(参考)任意整理に失敗する4つのパターンと失敗しないための対応法

そのため弁護士が無理のない返済計画を立てられるように、どの程度収入があり、どのような家計の状況かを把握する必要があります。

収入に関しては、サラリーマンであれば2~3か月分の給与明細や源泉徴収票を確認します。個人事業主の方は確定申告書を確認したり、必要に応じて直近の収入状況をお伺いします。

家計の収支一覧表については、もっぱら、家賃・食費・水道光熱費・電話代・教育費・娯楽費などの項目別に毎月ざっくりどの程度のお金が必要かをまとめたものです。こちらも弁護士の無料相談でフォーマットを渡されたときは、そちらにご記入ください。

任意整理の必要書類は簡単に集められる!

上記必要書類はすべての場合で必要というわけではありません。貸金業者との交渉をスムーズに行うための書類にすぎず、事案によっては必要でないときもあります。

任意整理は、あくまでも貸金業者と債務者またはその代理人の間で行われる交渉のため、裁判所は関与しません。ですから、自己破産や個人再生のように裁判所に提出するための書類を用意する必要がなく、比較的簡単に集められる書類が多いのが特徴です。

必要書類のせいで任意整理を諦めない

上記必要書類を見ると、任意整理をするために必要書類を集めるのが難しいと感じるかもしれません。しかし、任意整理に強い弁護士が、どのようにして書類を集めるか、債権者一覧表・家計の収支一覧表の書き方などを教えますのでご安心ください。

必要書類を集めるのが大変そうだと思って任意整理を諦める必要はありません。

資産がある方の任意整理に必要な書類

通常、任意整理で必要な書類は先述のとおりですが、資産がある人が必要な書類もあります。

 

所有不動産の登記簿謄本

不動産を所有している場合には、登記簿謄本をご持参いただけるとスムーズです。これは、お金を借りる際に担保にしていた場合だけでなく、担保にすることが可能な不動産を所有している場合にも必要になります。登記簿謄本は、法務局で最新のものを発行してもらいご提出ください。

生命保険の解約返戻金が分かる書類

生命保険の解約返戻金があるときは、解約返戻金の調査をお願いする場合があります。このような生命保険の場合、解約返戻金の額を調査するために保険証券が必要書類となります。弁護士が指示したときにはご提出ください。

退職金の目安金額が分かる書類

また、定職がある人で退職金制度がある会社に勤めている場合には、退職金の見込み額を計算するために職務規定などを調べることがあります。

 

任意整理の流れと必要書類の集め方

 

任意整理の手続きの流れ

任意整理の流れは、まず、任意整理に強い弁護士に相談するところからスタートします。相談時点では、身分証明書・印鑑・金融機関のカード類(キャッシングカードやクレジットカード)の3つを必要書類としてご持参ください。
任意整理のご相談にお越しになる方は借金問題で切羽詰まっていることも少なくありません。必要書類を集めることに悩むよりは、まず弁護士に無料相談することを優先ください。

弁護士と相談して依頼をすることを決めたら、弁護士が貸金業者に受任通知を送ります。このことで貸金業者からの催促・取立てはストップします。この間に弁護士が任意整理をするのに必要な調査を行います。調査にかかるのは、通常2〜3か月程度です。調査では、弁護士が貸金業者に過去の取引履歴の開示を求め、正しい借金の残高を計算します。長年返済を続けているようなケースでは過払い金の返還が見込めるときもあります。

概ね調査が終わったら弁護士との間で返済計画などの方針を決めます。方針が決まったら、弁護士が貸金業者と和解交渉を行います。和解交渉では、返済額や返済開始日、分割回数などが決められます。この和解交渉では必要に応じて収入状況や家計状況を必要書類で確認して、貸金業者に対して無理のない返済計画であることを説得します。

返済計画に貸金業者が合意すれば和解の成立です。その後は、和解の内容に従って債務者による返済が行われます。債務の金額にもよりますが、完済までには3〜5年程度の時間がかかるのが一般的です。

詳しくは任意整理の流れについての記事をご覧ください。
(参考)任意整理の流れ

 

必要書類を使って任意整理で行うこと

任意整理とは、債務者が債権者と交渉・和解することによって借金の返済方法を変えたり、減額したりする手続きです。
(参考)任意整理による借金減額の仕組みとからくりを分かりやすく解説

任意整理の手続きでは、貸金業者が利息制限法の上限を超える金利をつけていたような場合には、正しい金利に従って借金残高を計算します。これを引き直し計算といいます。
引き直し計算をするためには、どの貸金業者からいくらぐらい借りており、どのように返済したかを調べる必要があります。基本的には弁護士が取引履歴を開示すれば分かるのですが、弁護士が取引履歴を開示するために貸金業者を特定する必要があります。そのために、債権者一覧表や、利用中のキャッシングカードやクレジットカードが必要書類になります。

また、任意整理の和解交渉では、最終的に将来の利息をカットして借金元本のみを長期分割弁済にするような和解をします。そのため任意整理の交渉を行うためには安定した収入があることが条件となります。
(参考)任意整理できる条件

無理のない返済を行うために任意整理に強い弁護士は和解交渉を進める前に返済計画を立てます。返済に充てられるのは、収入から債務者の必要生活費を差し引いた額のなかからです。そのため、収入状況であったり、家計の収支状況を把握するための書類が必要になります。

 

まとめ:任意整理の手続きの必要書類は最低限3つ!

任意整理の手続きに最低限必要な書類は、身分証明書、印鑑、クレジットカード類の3つです。しかし、交渉をスムーズに進めるためには債権者一覧表や不動産の登記簿謄本などの書類が必要になる場合もあります。

必要書類を集めるのが大変と思われるかもしれませんが、弁護士が必要書類の書き方や集め方を教えますのでご安心ください。借金問題に悩んでいるときは、まず貸金業者の取立て・催促をストップすることが重要です。ご相談・ご依頼に必要な書類は少ないので、まずは任意整理に強い弁護士に無料相談することをおすすめします。

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